Psyは投げられた

若手精神科医が有る事無い事色々つぶやきます。

現実逃避は無趣味だとできない。

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 近所に本格的なフレンチのお店ができ、そこに通うとワインの話がでる。

うちの教授もワイン好きだし、一度しっかり勉強してみようと、ワイン関連の書籍を読んでいる。読むからにはちゃんと覚えようと、ノート作りなんかもしている。受験勉強以来の久々のまともなノート作り、iPadでやってみると結構便利なものだ。地図を貼ったり、いろんなペンで書き込んだり。

都会のスターバックスに腰掛けながら、頭はフランスの葡萄畑に意識を飛ばして、見たこともないのに勝手にテロワールを感じている。高校生の間にワインを知っていれば、僕は地理選択になっていたかもしれない(高校生の間にワインを飲んではいけない)

 

 

苦しい時、気持ちをそこに集中させず、意識を別の夢中になれるものに飛ばす。ストレスの多い世の中で生きるためにとても大切な力だと思う。僕もワインを勉強しながら、頭がフランスに飛んだり、チリに飛んだり、葡萄畑の水はけの良さを感じたりと、現実から切り離されていると、現実の不安やしがらみでいっぱいの頭が柔らかくFLUSHされる感覚になる。

 

日頃話をする患者達に、「無趣味なんです」という人が多い。楽しみながら、流れる時間をそのことばかり考えて過ごす、その媒体を持たないことには、現実から逃避することができない。不安、しがらみ、懸念ごと、現実の問題に振り回され、時間的余裕があっても、その時間で何を楽しめば良いか分からず、結果「余裕があるのに何もできない不安」に振り回される結果となる。

 

趣味を持つことは、若い時に一度経験しておけば、次々と見つけることができるものだが、歳をとるまで無趣味だと、新しいものを見つけてもどう没頭すれば良いか分からなくなるものだ。若い間になにかに熱中したり没頭したりすることが、生きる上で大切なことである。そういう意味では、勉強ばかりせずに、自分の好きなことに熱中して、ちょっと怒られるくらいまで成績を一過的に落とすことも、悪くないことかもしれない。なんて思っている。