眠れない日が増えているな、と感じるあなたへ。
今日は東京で勉強会でした。ペランパネルやらの話がメインで、ペランパネルは抗てんかん薬の中でも睡眠に非常に効力を示します。そういうわけで、今日は睡眠の話。
今日の論文: 睡眠のメタアナリシス。
Maurice M. Ohayon et al
Meta-Analysis of Quantitative Sleep Parameters From Childhood to Old Age in Healthy Individuals: Developing Normative Sleep Values Across the Human Lifespan
SLEEP 2004
睡眠は、取れなくなります。
若い時より、あなたは眠れなくなります。
これは結構精神科医の中では常套句のように使う表現であるけれど、実際にどれくらい睡眠時間が減るのかとか、そういうのは数値としてしっかりと理解しているとは限りません。
1960年から2000年程度まで、発表された論文を全部読み合わせて、睡眠の傾向をまとめた論文があります。(こういった種の論文をメタアナリシスと言います)
これによると、35歳までは総睡眠時間は減っていきますが、そこから75歳まではほぼ横ばいです。
しかし、その比率が変わってきます。
論文中では、WASO(wake after sleep onset :眠ってから起きた時間:中途覚醒)の量が増えていき、SWS( slow wave sleep;徐波睡眠:熟眠感を得る睡眠)が著名に減っていきます。
歳を取ると、年々眠れなくなるというのは、より正しくいうと、
「歳を取ると、中途覚醒が増え、深い睡眠が減り、熟眠感が減るものです」というのが間違いない発言と思われます。
「5年前と比べたら全然眠れないんですよね」という若めの人は、それが普通だと思います。熟眠感が減って、中途覚醒が増えているんですものね。
この論文の何よりおもしろいのは、睡眠論文の筆頭著者がDr.「おはよん」だということ。