Psyは投げられた

若手精神科医が有る事無い事色々つぶやきます。

いい人は人生で成功しないのか?

いい人は、成功しない。統計をみるとそう感じられる。

 

親切さと有能さは反比例するように感じられる。これは実際に印象として逆相関することが研究上で明らかになっている。悪は善より強く、悪い親や悪いフィードバックはより強くその人の人生や印象へ影響を与えるようだ。

 

では不品行に人を欺き続けた方が良いのか?

不品行は伝染する。周りの人がズルをして乗り越えているようだと、みんなズルをするようになる。これは医学部のテストなどを見ていてもそうだ。速度違反をすることもそうだ。自分がズルをするようになると、ひともズルをし始め、生産性は落ちてしまう、というデータがある。信頼性がないとグループとしては生産性が落ち、結果偉業を成し遂げられないことになる。これは安定した取引などでも真である。円滑なコミュニケーションと取引の上では信頼性、組織力が必要であり、例えば刑務所内ではギャング組織が機能している。新入りに贈り物とアンケートが配られるということもあるようだ。そしてギャングが派閥を持っている刑務所の方が、それ以外より問題行動が少ない、といったような事象も観察されている。かつて海賊は、これと同じ構造を取っていた。独裁的な商業船のオーナー、横暴な様子を見かねたなかから海賊は出来上がっていく。海賊が横暴な印象があるのはイメージ戦略であって、本来はとても民主的な団体だった、と言われている。結果海賊は非常に組織されたすばらしい犯罪組織となったのだ。

 

そうすると、人に慈善を与える人は常に割りを食うのか、という疑念が湧いてくる。しかしそうとも言えない結果が出ている。

 

子供が線路内に倒れて、そこに近づく電車。誰もが目を覆いたくなるタイミングだったが、ある男性はその子に覆いかぶさって電車に轢かれずに済んだ。そういう行為が、周囲の人を感動させて、New Yorkの街全体が彼にさまざまな形で栄誉を称えた。こう言ったギバータイプの人は、時に多くの収入や社会的地位を得る。

 

人を信じる度合いによって、収入や人生の幸福度も変わってくる。人を10段階で8信じる人の収入が一番高く、9信じる人よりも7%ほど高い。これは9信じる人がテイカーに搾取されているからかもしれない。また全然ひとを信じないタイプの人は、8の人より20%近く収入が低く、これは大学卒業するかどうかレベルの給与差である。

 

こう言った傾向から、実際にはどのようなタイプの人が、最終的な評判、金銭的な価値などを得るか、ということをコンピューターシミュレーションした人がいる。結果は、「しっぺ返し戦略」が一番だったとなっている。つまり、「協力する相手には協力、裏切る相手には報復」するタイプのプログラムが勝った、ということだった。

 

歴代の変人、悪者、海賊、いい人、コンピューターシミュレーションから言えるのは、

・自分に合った池を選び、上司や周りの人など、「こうなりたい」と思えるような人をおく

・まずは協力協調する

・無私無欲にはならず、報復はする

・懸命に働いて、それを理解してもらう。自己顕示はする。

・長期的視点で考え、相手にも長期的視点を持たせる

・許す

ことが長期的な成功を収めるキーだということだ。

 

残酷すぎる成功法則

残酷すぎる成功法則

 

 

私たちが医者として生活をしていく上で、こういった視点はどの程度持てているだろうか。

めのまえの医局人事や働く場所ばかり考えて、人を見ていないかもしれない、と考えるところもあった。

長期的視点で見て、自分がcommitできる環境に身をおく、それは意外と難しいことかもしれない。