Psyは投げられた

若手精神科医が有る事無い事色々つぶやきます。

社会の闇にとじこめられる患者たち

医療が必要ななかで、医療につながらず家で引きこもり続ける人たちがいる。一度医療につながっていたけど中断した人や、もともと「単なる引きこもりだ」として、医療の必要性を感じられていなかった人もいる。

 

2年前に勤めていた医院で精神科往診を定期的にするようになってから、僕は病院に閉じこもらず、生活の場に入っていくことの必要性を感じるようになった

今の病院に移ってからも、アウトリーチチームに入り、患者の往診をしている。医師数減の際にどの程度往診を残すか議論にもなったが、僕は現場に行っている。医者が直接出向くことに意味はあるか、というと、それは微かかもしれない。むしろ、僕がこの目で生活の現場を見たい、という想いが強く、無理をしてつづけてもらっている面もある。

上記の漫画は、今精神科医フェイスブック界隈で少しブームになっているものだ。東京の精神科患者移送サービス会社の生の声を書いている本だ。

この本に描かれている、統合失調症を煩いながら家族の援助が乏しく受診できない状態、これは本当に沢山ある。うちの地域だと、高齢化が進み、受診を拒む子供を力技で連れてこれない老いた両親、といった状況が比較的多い。

そんなところに往診に行ってる自分。ほなら、入院できる機関の医者が直接みにいってるんだから、お前らが看護師とか色々つれて引っ張っていけよ、というかもしれないが、それも基本的には超法規的。患者の人権を無視して病院からいきなりきた人間が病院へと連行し、超人権的な医療保護入院をするというのはご法度。少なくとも今はそう考えられている。

2002年に、そう行った超人権的措置を打開すべく、精神保健福祉法34条に新設されたのが移送制度だが、これは「家族からの相談で」保健所が相談に応じ、事前調査をして、やっと精神保健指定医が患者宅に赴いて診察、となる制度である。これは保健所のフットワークによるものが大きく、比較的多くこの制度をりようする自治体もあれば、うん年内で一人もこの制度を使用していない、といった格差が大きく開く状況となっている。

警察は本来、精神錯乱を疑う状態において「自傷他害の虞れ(おそれ)」を見るだけで通報、措置診察へと繋げられるはずなのだが、ほとんどが「虞れ」では動かず、自傷他害をして初めて動き出す。何回も問題行動を起こしつつも、家に返しまくって、結局つながらなかったり、かと思ったら、「なんかおかしいから病院に連れてきた」として、入院を強制してくるような自治体もある。(主治医が入院不要、とすると、警察は、このまま返して他者に危害を与えたらどうするのだ、という。その懸念があるならば、警察が他害の可能性を踏まえて措置通報すれば良い。)

地域で苦しむ精神科患者を、医療に正しく繋げるには、行政の腰はとても重たいのだ。

しかしこれは医者が一人動いてもどうかわるわけでもない。システム構築と、その浸透が急務なのだが、公的機関にはなかなか「仕事を増やすだけのモチベーション」が出ないようだ。見ないふりをしていれば、困ったことが起きない限りは見ないふりを続けられる。そして、問題が起こった時に出て行ったら、まるで助けてもらったかのような顔をできる、というくだらない状況に甘んじているのだ。

 

そうやって、闇に閉じ込められた患者たちは、未治療期間が長い故に回復も難しくなる。結果入退院を再度くりかえし、長期入院につながって、再度「閉じ込められて」しまう。

 

時代を問わず100人に1人の割合で発症し、その数割がこのような顛末を見せる統合失調症という病気。人権に配慮した点も大切なのだが、それよりも「なるだけ早いタイミングで医療に繋げる」制度の創設が望まれる。

そして、あなたたちの子供も、100分の1の確率で(ほかの理由による引きこもりなども含めればより多く)上記の予備軍になる。その時に気をつけて欲しいのは、「世間体など気にせずに」「本人の苦痛をとりのぞくことを第一に考えて」「医療や相談機関へすぐにつなぐ」ことである。子供、家族、友人、全ての人間関係において、これを肝に命じておいて欲しい。

 

 

 

ps

https://motivationaldieting.hatenablog.jp/entry/2019/01/01/213239

 

 

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