Psyは投げられた

若手精神科医が有る事無い事色々つぶやきます。

診察中の自分の顔を見る方法

1週間に20時間以上一つの席に座って、外来をしていると言うのに、自分の外来をしている顔や反応、表情と言うのは全くみたことがない。そりゃそうだ。鏡張りの部屋なんて注意が逸れて診察に集中できないだろう。

 

今日は偶然にも、自分を診察中に、まさに今自分がどんな顔をしているのか、見る機会があった。

 

患者は(プライベート保護のために適宜変更しています) 50歳の男性で、軽度知的障害とボーダーライン的パーソナリティ、および解離を起こす人だ。

比較的今まで解離と横暴な口ぶりで社会から隔絶、避けられてきた人だが、最近はちょっとずつ、ひととの距離のとりかたを知ることができて、調子が良い。

時に奇抜なファッションをおこなうのがこの人の嫌いになれないところで、時にニセ久保帯人のようなスケスケの服を着てきたりだとか、へそだしルックスをしてきたりだとかで、笑いをこらえるのが厳しい時もある。

 

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そんな噴飯もののファッションショーをする彼が、今日はすごいメガネをかけてきた。

虹色の、パリピ用サングラスである。

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お前は夏の顔をつけないプールに浮かんでいる女かと!ニセ久保帯人以上のムチムチな身体しながら!

突っ込みたいけど突っ込めないのが医者の辛いところである。

 

「今日は、いつもつけてないサングラスですね」

「うんー100均でかってんや」

100均でパリピになりたくて買ったんだ。

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パリピメガネは、レインボーの中に、うっすらと向こうの目が見えるのだけれど、殆どの光を反射する。

レインボーの奥に覗く目を探そうと必死に見ていると、自分の姿が反射されて見えてくるのです。

僕の見た目は大体佐村河内なので

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あぁ、自分はこんな風に患者に写っているんだな。

伸ばした髪を左右に分けて、佐村河内さながらのおっさんが真剣な顔をして手を組んで話を聞いているのか、と。

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僕はこの状況でよくも吹き出さずに耐えられたなぁと思います。

診察姿勢を自分で見られるって珍しくて、すごくその人の目を(目の上にあるサングラスを)(目の上にあるサングラスの上の自分の反射を)見ていた訳です。きっと患者は「めっちゃ目を見てくれている」と思っていたに違いないです。医者に目を見てもらえない患者さんはこのさんぐらす、100均で売ってるらしいので、買ってかけて行ったらいいですよ。