自尊心とはなんなのか
いままで外傷系の内容をいくつか書いてきた。低自尊心病、あだるとちるどれん、外傷的育ちなど、自尊心の低い状態によって出てくる状態をいくらか紹介した。
結局、自尊心は何が材料でできているのだろうか。
自分が人より出来ること?いや違う。自分が人より出来ることを持っていても、自尊心がとても低い人はいる。今僕の患者には、自尊心が低くて希死念慮をすてられない英検準1級保持者(学校ではじめて)がいる。
成績?学歴?いや違う。なんなら学歴がしっかりしているひとこそ、自尊心が低いことがある。自尊心の低さをなんとか学歴やキャリアで埋め合わせようとしているようにみえる。
答えは、おそらくだが、「幼少期に与えられた無条件の愛」が自尊心の材料である。
お母さん、お父さんは、自分が何かに役立つから好きでいてくれるのではない。何かメリットや良い行動をするからご飯をくれるわけではない。自分がこの世界に「ある」ことが、それだけで価値のあることなのだ、と、無条件の愛を与えられていると、その人の発症可能性はぐんと下がるようだ。
摂食、ボーダー、解離、そう行った疾患の背景には、やはり「親に大事にされなかった」という悔いが残っている人ばかりである。母に「頼むから死んでくれ」と言われたり、親の言うことを聞かないとご飯抜きにされたりなど、「自分の行動は両親の気持ちをなだめるためのものであり、りょうしんの気持ちをなだめるから自分は認められている」という考え方をしてしまうわけである。
自分の子が出来た時、躾と感情によるふりまわしを混同しないようにしてほしい。
自分の思い通りにならない子供を思いに添わせようとしすぎないでほしい。
じぶんがどう育てるかで、将来の精神症状が変わりうると言うことを知っておいてほしい。