統合失調症の「再発」って何だろう。
統合失調症の薬には、時に統合失調症の症状を一過的に悪くするものがあって、特に切り替えをした瞬間にぐあっとわるくなることがあるんですよね。そんで、「薬入れたのに再発した件について」みたいな論文を書いてみようと思ったことがあったんですが、何が再発かってことの定義をしないと、論文をかけないのよね。
統合失調症の再発、ってじつは明確に定義されていないんですよね。
Definitions and drivers of relapse in patients with schizophrenia: a systematic literature review
87の論文をしらべて、その中で「再発」をどう定義しているかを見ています。
その60弱は「入院」または「症状の悪化が入院につながった例」を「再発」と定義して研究していて、
PANSSという精神科の病状を図るスケールを使ったものは17件
医師の主観的な「症状の悪化」は15件程度です。
入院を悪化とするのは確かにわかるとして、
PANSSが17件、医師の主観が15件というのは、精神科医療のスケールの使いにくさ・精神科医がいかにスケールを取らないか、という点に現れていると思います。
入院はしないけど、「明らかに」症状が悪くなっている。この「明らかに」というのは、まだ主観的で、この明らかさを示すための方法がPANSSなのでしょうが、それをとるには時間がかかるし、それを取るまでもなく増薬変薬した方が良いだろう、と考えるわけなのです。
調子が悪くなる時に出る症状、というのが千差万別で、患者それぞれのセルフモニタリングツールとしてのWRAPやcrisis planというものが大切にされているこの病気です。全員に適応出来るようなスケールの作成が難しくて、つくっても時間がかかって解釈に個人差が出てしまったりする。主観的にもっと点数がつけられる統合失調症のスケールってないんでしょうか。作ってみて、アプリでまいてモニタリングできたらいいのにな。