Psyは投げられた

若手精神科医が有る事無い事色々つぶやきます。

統合失調症を理解する本、漫画

地域のヘルパー向けに行う統合失調症のスライドを作成している。

こういう場合、例年は卯月妙子の「人間仮免中」や松本ハウスの「統合失調症がやってきた」を紹介することが多かったが、今回は別のものもないかと思って探してみると、あぁこれは良いというものをみつけた。

 

disability-culture.jp

 

美術系の大学に進学し、その過程で病気と闘いながら卒業した木村きこりさんの作品。

何かチャレンジしようとしても幻聴に否定され、それに打ち勝とうとする筆者

病気についてカミングアウトしながらも、受け入れてくれないバイト先

しかし、「一定数はそういう人がいる」と納得してそれに打ち勝ち、自分の体験を絵画にしようと奮闘する姿。

疾患を抱えながらも前進しようとする姿が、非常に端的に示されていて、とても心に響いた。

精神科医としていつも見ているはずなのに、こういう作品には特に気持ちが揺さぶられる。

 

特にこの作家の作品は、「必要以上の言葉がすくない」点もすっと入って来やすい理由となっている。

 

講義なんてやめて、みんなでこれを読もうかな。

 

福岡の旅

お薬やさんに呼ばれて勉強会に行くついでに福岡の旅。

勉強会は精神科関連の政策問題や、今後の方向性についての話。

まぁ、いわゆる出てこれない系の精神科病院がどんどん潰れていくよ。という内容でした。

 

 

福岡は遊びの多い国だそうだが、そういう事とは無縁にただただ食べ歩いてしまった。

お友達のおっさんと二人でアイスクリームを食べ歩く始末。

 

f:id:thePsyiscast:20190224233718j:imagef:id:thePsyiscast:20190224233724j:image有名なラーメン屋台+串焼き。牡蠣がゼツピンでした。

f:id:thePsyiscast:20190224233738j:image大名ソフトクリーム

f:id:thePsyiscast:20190224233728j:image一蘭が箱に入ってくるやつ

f:id:thePsyiscast:20190224233748j:imageジェラート3種*2f:id:thePsyiscast:20190224233753j:imageフォトジェニックー

f:id:thePsyiscast:20190224233800j:image屋台は現地民が行くところじゃないです、なんでも揃ってるのなら駅ビルの下です、と九州出身MR。うーんそういうことを求めて聞いていないんだなぁ。

f:id:thePsyiscast:20190224233733j:imagef:id:thePsyiscast:20190224233805j:image講演会前にもラーメンしちゃった。

 

痩せます。

田舎にもオーセンティックバー

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ジュリエットというカシスのジュース。

ニュージーランドの強い紫外線を受けたカシスの濃厚な味。

 

ここのバーではいろんなことを教えてくれる。

ピートの地域差、ピーティーという言葉の誤用、花開くシングルモルト、グラスの振り方。

 

寛げるバーを持っておくことは大人の嗜みとして良いものである。

生きる上での脱力と、次の日からの活力を上手くバランスしてくれる場所

大変な日々を乗り越える力を与えてくれる言葉

国際学会(もどき)から帰って3日。

臨床に戻ると、また平常運転。

自傷のオンパレードの入院患者がエスカレートして、説得して鎮静かけるとか

焼肉食べ放題中に患者が暴れて呼び出されるとか、

退院させようとしてた患者の妄想が再燃してECTするかとか

本当に止めどなく問題が溢れてくる。

 

当直もあまり眠れず、次の日も呼び出され。

でもエナジーは、自分で生み出すものだと思って、今日はやっと落ち着いた夜にジムでバイクを漕いでいる。

 

 

「疲れとは、状態ではない、自己決定だ。」

というのは、prof. Norman Sartoriusが昼食中に我々学会運営陣に語った言葉。

疲れている状態だから何かを諦める、というのは、あくまで諦めるための口実であって、自分が諦めるという決定をしたから疲れていると感じるのだ、と。

本当にしたいこと、面白いと思うことは体調に関わらずするだろうし、できることで元気になるだろうと。

 

 

これを30代のイケイケ実業家が言うなら何だか冷ややかな目を向けながら聞いたかもしれない。しかし、85近くになってまだ世界を年間200日旅し続けて「与え続けている」偉いさんが言うと、重たさが違う。

 

それを聞いた人間は、きっと二分化する。「そうか、頑張ろう」か、「ついていけないわ」か。

僕は昔なら「ついていけないわ」組だったかなぁと思う。ニヒルで、世界をしょうもないと思っていた頃は。

でも、色々な患者とあって、それぞれの苦しみを投影して自分を省みて、そして自分の世界は自分で築き上げないといけないと感じるようになった今。

僕は「そうか、頑張ろう」と感じられるようになった。

 

きっと、彼は僕たちの様子やcommitmentを見て、この言葉に「耐えられる」だろうと思ってくれたのだろう。

 

溢れる問題と解決しきれない苦しさに耐えながら、僕はまた前に進んでいくんだ。

自ら、自分の世界を築き上げるために。

 

 

 

CADP 18th 終了しました。

若手精神科医の会という、若手精神科医と日本の精神医療の発展を望んだNPOがありまして

その年一の大会であるCADP ( course for academic development of psychiatrists)という会が開かれました。

運営として3回目の出場をしておりました。準備云々で毎週のようにミーティングに費やした時間はおそらく百時間以上。それが終わり、やっと肩の荷が降りた、と思うのもつかの間、次期代表をすることになっております。ひえーという感じですが。やるっきゃない。

 

 

世界で1番と言って良いほど有名な精神科医の先生をお呼びして、ほとんどボランティアのような形で学会発表や人生について教えてもらう、という会です。知る人ぞ知る素晴らしい会で、3回出ても、出ればでるほど味が出るような会です。

 

「この会に出ることの何よりの意味は、自分を知ることだ」とその先生が仰った、その言葉の意味が会が進むごとにじわじわとわかります。

会の運営や、司会、自分の行動を見返す上で、シャイな自分、よく見られたい自分、敬う気持ちを忘れがちになる自分、そういう自分を見つけます。一方で、なんとかなる自分、やるときゃやる自分、怯えない気持ちを持てた自分、成長した気がする自分、うけいれられている気持ちのする自分など、ポジティブな自分も見つけられました。

 

  真剣に物事に取り組むと、自分を見つけることができます。そういう体験をこれからは大切にしていきたいと感じました。

 

 

  さて、いまからはスライド作り、指定医専門医のレポート作りなど忙しさマックスハートですが、まぁなんとかなりますかね。なんとかなる自分の根性で頑張っていきましょう。

偉い人は偉そうじゃない。

今日から通常業務をお休みして、若手精神科医の会という団体の会議に参加しています。

外国人や日本人の若手精神科医が集まり、国際学会の練習という合宿です。

 

この会のドンは、世界でフロイトの次に有名な精神科医(と言われている)のおじさんで、WHOや世界精神医学会の偉いさんも歴任している方。85歳も近いのにもりもり動くしもりもり食べる。

今日はその人のアテンドをしていたわけで、大阪をいろいろ回っていたわけですが、僕たちのような端くれのような精神科医たちにも優しく問いかけて、拙い英語もしっかり聞いてくれる。本当に優しくて、えらそうさを感じさせない人。

 

偉い人は、偉そうじゃない。誰でも持ってしまいそうな偉そうさをほんとうに出してこない。そこが凄いところなんだなぁ、なんて感じるわけだった。

偉そうなひとが偉そうにしている日本社会は、いつまでたっても二流なんだろうな、なんて感じた。

 

おしまい。 明日から英語漬けの日々。こわーい。