Psyは投げられた

若手精神科医が有る事無い事色々つぶやきます。

bullet proof coffeeは自分より医局員が飲むようになった。

体重が減らない。

 

運動をしてみたり、すこし姿勢良く歩いてみたり、食事を意識してみたり、体重を測ってみたり。

色々するけど体重が一向に減らない。

 

そんな時に、手を出したのが「最強の食事」

 

シリコンバレー式 自分を変える最強の食事

シリコンバレー式 自分を変える最強の食事

 

 

これに書かれていて、日本でもじわりじわりと流行りつつあるコーヒー。それが完全無欠コーヒー(bullet proof coffee)である。(個人的にこの訳語はかなりセンスがあって好きだ)

 

グラスフェッド牛のバターと、mctオイル、そしてプレス又は金属フィルターで抽出したコーヒーをブレンダーでブレンドして飲むというもの。高山で飲んだバター茶でとても元気が出たという経験から、筆者のアスプリーが考案したものである。

 

このコーヒーを飲めば痩せる、という絶対的な触れ込みから、試す人が増えている。他にも有効なメニューを書いてあるのだが、何よりこのコーヒーの作り方やパワーを強く述べているため、一番印象に残り、2017〜2018年頃に多くの人が試したと思われる。

 

僕も去年の4月にこれを試した。たしかにしっかりレシピ通り作ると、濃厚なコーヒーとバターの絡まりはうまい。しかしグラスフェッドバターは高価であり、仕入れるには大量購入が必要で、ちょっと一人で使うにはびっくりする量を買う必要がある。だから、最初以外はmct オイルだけ入れたコーヒー、そんな感じで飲んでいた。

 

ほんの少し痩せ始めると、周囲がその存在に気づく。

何をしているのか、と聞かれ、こんなのを試した、というと、上司が食らいついた。

 

上司はこの完全無欠コーヒーが自分の人生哲学に合致したようで、MCTオイルを購入し、毎日飲むようになった。すると、巨躯であるものの4ー5 キロと痩せて、何か健康的に見えるようになったのである。最近では自分の後輩もそれを飲んでいるという。

 

こうなると、面白くない。

自分が始めたはずのものが、他人に奪われた感じがして、さらに自分より成果を出しているように見える。

僕はMCTオイルコーヒーを飲まなくなってしまった。

 

体重は増えた。元に戻った。その後も周囲は続け、まるで上司がMCTオイルコーヒーの先駆者のようにみられるようになった。

なんとなく面白くなかった。誰も悪いことをしていないのに、なぜか面白くなかった。

 

 

 

ものの先駆者であるというのは、簡単なことではない。

先駆者であるためには、それにしがみつき続けないといけない。

たとえ人が真似をしようと、それを牽引し、自分が先頭を走る気持ちを忘れてはならない。

自分より後の人間は、自分の経験をすこししっているから、余計うまくするかもしれない。

そんな人にも追いつかれないためには、絶えず先駆者としての自分の経験を客観的に振り返り、改善策を見出し続けないといけない。

 

医者をするにしても、研究をするにしてもそうだろう。

このテーマ面白そう、そしてちょっとデータを出したとしても、そこにしがみつかないと、最初の穴掘りをしただけになる。もっとふかいところまで掘っていくパワーが必要だ。

 

 

cling to it. Cling to bullet proof coffee.

 

そんな思いで、2がつから、またMCTオイルコーヒーを飲んでいる。また、痩せるだろう。多少は。その後に、次はしがみつけるように。