Psyは投げられた

若手精神科医が有る事無い事色々つぶやきます。

クリスマスは宗教戦争の話を 後編

西洋近代における合理化、科学産業の発展は、マックスウェーバー曰く「世界の脱魔術化」というほど、宗教から離れていく時代でありました。 宗教国家から、どんどんと権威から独立した“世俗的”国家が形成されていきます。宗教的な観点が外れた結果の近代科学発展を見届けると、やがて宗教の力は弱体化する、というふうに感じるのも当然です。

 

ですので20世紀には、西洋近代は「世俗化の時代だ」と言われるようになります。実際ヨーロッパ諸国におけるキリスト教の果たす役割は低下しています。しかし、2001の911事件において、近代世界の中心地におけるイスラム原理主義者たちの攻撃が起きます。ジョージブッシュは「十字軍」という言葉を口にして、キリスト教イスラム教の対立構造を打ち出してしまい、世界各国でテロが相続くようになります。

 

宗教の力は弱体化するどころか、再度強まっているようにも見えます。これは実際にその通りの可能性があり、アメリカではプロテスタントの信奉者は減りつつも福音派という原理主義的な力が強まっている様子もあり、またヨーロッパにおけるイスラム教徒の信仰者も増えているようです。「世界の再魔術化」が起きているようです。

 

この再魔術化を見せる世界の中で、人類が平和に宗教を保つためには、どのようになっていくことが必要なのでしょうか。

答えは単純で、「神の存在を個々人の思いに落とし込む」事です。教義、真理は二の次で、「それぞれが信じるものを信じる」「お互いに干渉せず」「尊重し合う」コスモポリタン的な社会を作る、ということのようです。

自分自身の神、自身の平穏、そのために祈り、信仰する。それ以上のことは目指さず、信仰者と不信仰者の間に差別を設けず、それぞれがそれぞれの信条を守る。個人的な資産としての信教というのを真面目に述べているのが ウルリッヒ・ベックというドイツ人社会学者です。

 

真理を求めると、そこからのズレに寛容になれず、対立を招く。じゃぁもとよりそれぞれに抱く自分自身の神を抱くようにしましょう、ということですね。

 

だからサンタさんもそれぞれにいるとか、いないとか、考えたらいいんです。それがその人にとってしあわせなら、それでいいんです。

サンタさんがいいプレゼントをくれた人も、非リア万歳とサンタの存在を消したい人も、下痢と脱糞のぷれぜんとをもらった僕も、みんなそれぞれで、みんな良い!

 

 

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うーん、これって、やはり仏教の教えに近いかもしれないですね。自分が描く心象世界で、禅をしたり、悟りを得たりしていく。これがつぎの世の中のスタイルになっていくのでしょうか。

 

いま世界の哲学者が考えていること

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